Friday, September 2, 2011

第十八章 地球上で生存(サヴァイヴァル)を賭けた人類の進化論的分岐可能性に就いて

 前章で示した国家規模のヴィジョン、倫理的基準に対するヴィジョンといった分岐が人類を民族的に閉じたレヴェルで推し進められている可能性は充分にある。例えばカリフォルニア州で実施されている同性婚の制度も、アメリカ全土に広がる可能性は小さい。そういった意味では同性の親同士の遺伝子合成ベビーが精子だけ何処から調達したら可能である(つまり卵子と子宮を役割分担することによって女性同士のカップルの子供は可能である。男性同士のカップルの場合はどうなるのだろうか?)。
 そういった倫理的規定、制度的な在り方への自然であることの認識は民族的に閉じていずに、同性婚を容認し得る世界市民とそうではない市民との間で亀裂が生じてくるという可能性はかなり大きい。つまり社会モラル毎の世界的に二つに分岐していく、という可能性である。
 
 それに対して人類全体が自然災害による地球環境の激変に伴って大きく幾つかに生活形態が分岐することを契機に、次第に遺伝子レヴェルでも分岐していく、つまり種分化的可能性さえゼロではない。
 例えば日本で言えば首都圏直下型地震、東海沖地震、富士山噴火型地震、南海地震が同時併発的に勃発して巨大な津波が沿岸部をすべて10キロ以上陸地を浸食していってしまい、次第に海の面積が地球的規模で拡大して、国民は陸地で住むことが出来るのが、一部有産階級だけになっていき、それを見越して既に沿岸地域では地下生活を余儀なくされた市民が多数派になっていたとしよう。日本では地下建造物の技術は優れている。しかし同時に地下へ送電するのには多大のコストがかかる。従ってある深さ以上は当然限界がある。
 しかしそこで日本人の中で突然変異的個人が現れる。それがルシフェリンが異常発現した個人であったとしよう。彼は身体全体が幼い頃から発光体になっていたのだ。しかも彼は夜型人間だったのだ。
 必然的に夜型人間のみ一切の太陽光を浴びずに生活し続けても精神的に異常をきたさないでいたとしよう。そして次第に更に深い地点迄地下生活者の居住区域は進展する。
 そして次第に日本人は三つへと生活形態が分離していく(それは日本だけでなく世界的規模になっていったとしよう)。
 つまり僅かに残存した陸地で生活していく有産階級、そして地下生活を余儀なくされ且つ一切の太陽光を浴びずに生活することで精神異常にならない階級の人達(下流社会的人達)そして体育会系のそのいずれにも属さぬ水軍的魂の人達は、既にアデン湾で活躍していた海賊の一味となって世界中で海洋生活人類として陸上生活有産階級とも地下生活下流社会の中でも自己身体発光体によって電気が少なくとも照明レヴェルでは不要な人類によって暖を取ること以外では一切電力エネルギーを必要としない人類(当然全ての電力エネルギーは地下農場維持だけである)、移動もさして大きなコストを必要としない人類とも決別した生活形態を採っていたとしよう。
 人類は陸上生活者、地下生活者、そして海洋生活者へと完全分岐していったのである。すると次第にこの三つの人類は種分化をきたし、相互に子孫を繁栄させることなく閉じた系として生活する様になり、当然連絡もとらない様になっていくのだ。そしてその子孫になるにつれ次第に相互に他者人類存在を知らない様になっていく。
 
 同性婚を成立させるモラルの人類と、そうではない保守人類とが文化レヴェルで分岐していく世界的規模の人類分岐可能性と同じくらい、この種の地震と津波、そして原発依存型生活者と、そうではない人達による分岐可能性はある。原発依存型の人達は陸上生活を営む。尤も或いは彼等こそ太陽光発電をするべきなのかも知れないが、そもそもそれだけの平地を獲得出来ないでいたとしたら(せいぜい埼玉県くらいの平地だけが沿岸部として残存しているわけだから)原発にしか依存出来なくなっているだろう。すると核廃棄物を発展途上国の地下に買うということも出来なくなっている(そもそも地球温暖化で世界の島々は海洋へと沈没しているわけだから)ので、地下へとそれを廃棄しようとする段になって初めて地下生活を選択して突然変異ルシフェリンがウィルスの様に広まった地下生活人類と邂逅し、そこで争い事が生じる。勿論海洋生活人類は始終海賊行為をして生計を立てていたので、当然陸上生活人類もそうおいそれと外国へと渡航することを海洋レヴェルでは断念している。当然貿易はままならない状態となっている。空路だけが残されているが、そもそも貿易がままならないレヴェルで国家間のバイラテラル、ユニラテラルな関係自体が閉塞化している。結局国際社会とは物資面ではなく、あくまでウェブサイト上での文化交流オンリーになっている可能性すらあるのだ。
 世界史だけを相互に語る自給自足オンリーの世界市民の完全独立生活形態だけが世界を支配しているのだ。
 この三つの人類へと生活形態が分岐して、種分化していく可能性の壮大なる思考実験は今始まったばかりである。次回はその詳細を分岐していく時期から、完全分岐した時代への歴史的経緯から考えてみようと思う。